共有

第21話  

私の頭が見つかったその日から。

私は自分が次第に弱くなっていくのを感じた。

わかっている、この世界に対する私の未練が消えかかっているのだと。

そして私も、この世から消えていく。

篠宮薫は死刑を宣告された。

彼は殺人動機は「東野聡が気に入らなかったから」と言った。

しかし誰もが知っている、彼が篠宮葵のためだということを。

彼は篠宮家の養子で、ずっとこの妹を大切にしてきた。

妹が生き延びられるなら、彼はどんな代償もいとわなかった。

たとえそれが、彼が可愛がってきた後輩を殺すことでも。

聡はあの日以来、もう仕事に行っていない。

彼は私の頭を抱いて、家にこもっていた。

以前と同じように、家をきれいに掃除して、私の好きだった料理を作る。

私が食べられない肉の脂身を彼が食べ、私が絶対に手をつけなかった残り物も彼が片付ける。

彼は私にウェディングドレスを買ってくれた。

でも、私は頭だけなので、ヴェールをかぶるしかない。

彼は言った。「夕星はとても美しい」と。

彼が今まで見た中で、一番美しい女の子だと。

それに、彼は私のプロポーズを断った理由を話した。

それは、本来、こういうことは男がするものだからだと。

そして最後に、彼は私とずっと一緒にいると言った。

私の頭が腐っていくにつれて、部屋の匂いはどんどんひどくなっていった。

もう、耐えられない。

もう十分だよ、聡。

本当にもう十分だ。

私を埋葬して、安らかに眠らせて。

そして、あなた自身を解放して、私を忘れて前に進んでほしい。

暗闇の中で、彼は私の声を聞いたかのようだった。

彼はそっと、つぶやいた。

「わかったよ」
ロックされた本
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status